無理のない資金計画の立て方
気に入った物件を手に入れてリノベーションしても資金計画を誤ると家計が破たんなんてことにならない為にも最初の計画が肝心。ゆとりあるマネープランを立てましょう。
まずは返済できるお金と準備できるお金を知ることからスタート!
資金計画で大切なのは「いくらなら返済できるか」を計算すること。現在の家計はもちろん、これから収入がふえる見込みは? 子どもの教育費はどれくらいかかる? など、将来的な収入と支出もある程度予測して考えましょう。
最近は100%ロ―ンでマンションを買うこともできますが、それは本当に危険。新生活をスタートさせ
たのに、ロ―ンの支払いがきつくて家族旅行もできないようでは悲しいですね。理想的なのはロ―ン返済をしながら、少なくても年間50万〜60万円の貯蓄を確保すること。そのためにも、最初に無理なく返済できる額を把握しておくことが大切です。
現在の暮らしをベースにしながらも少し余裕をもたせて
さっそく下の式を使って、どれくらいの資金を用意できるか計算を。現在の貯蓄から住宅用資金に回せる額
を、自己資金の欄に書き入れてください。次に、下の計算式に沿ってロ―ン金額を試算します。そこから物件購入などにかかる諸費用を引いたものが、中古物件購入十リノベーションにかけられる総予算。諸費用は物件価格のおよそ1割なので、ここでは0.9を掛けて計算します。
マネープランを考える際の思わぬ落とし穴が、引っ越し後の生活費のアップ。今までより部屋数がふえたり、新しい設備機器を導入したりすると、光熱費が上がる場合も。都心の便利なエリアに引っ越したら、物価が高くて食費が上がった!という話もあります。多少の生活費アップにも対応できるよう、ゆとりある資金計画を立てましょう。
物件購入×リノベーションの総予算を計算しましょう
無理なく返済できるローン金額を算出
現在支払っている家賃や駐車場代などの合計
毎月の貯蓄の中で住宅用資金に回せる額はいくらですか? 小さな子どもがいる家庭では、教育費の貯蓄も必要ですし、また、老後資金としての貯蓄も確保したいところです。将来のライフプランを描きながら、住宅用資金に回せる金額を算出しましよう。ここを高く見積もりすぎると、先々の家計が苦しくなるので要注意!
毎年かかる固定資産税や、マンションの管理費や修繕積立金など、住まいを維持・管理していくためのお金は意外とかかるもの。きちんと予算をとっておきましよう。年間40万~60万円が目安です。
下の表から、利用するローンの金利と返済期間を選び、交差するところを探してください。それが借り入れ可能額です。住宅ローンは定年までの完済が基本。返済期間は定年退職の年齢から現在の年齢を引いた年数にしましよう。より安全策をとるなら定年前に支払いが完了する設定に。その分、返済総額が少なくなります。
年間返済額100万円あたりの借入可能額早見表
金利/返済期間 | 20年 | 25年 | 30年 | 35年 |
1.6% | 1710 | 2059 | 2381 | 2678 |
1.7% | 1694 | 2035 | 2348 | 2636 |
1.8% | 1678 | 2011 | 2316 | 2695 |
1.9% | 1662 | 1988 | 2285 | 2555 |
2.0% | 1647 | 1966 | 2254 | 2515 |
2.1% | 1631 | 1943 | 2224 | 2477 |
2.2% | 1616 | 1921 | 2194 | 2439 |
2.3% | 1601 | 1899 | 2165 | 2402 |
2.4% | 1587 | 1878 | 2137 | 2366 |
自己資金はどうやって準備する?
現金、定期預金、株、投資信託など現在の貯蓄をすべて洗い出し、住宅用資金にいくら回せるかを計算してください。住宅取得には予想外の出費がつきものですから、自己資金はできるだけ多く準備するのが理想です。また、住宅取得にあたって、親から資金援助を受けるというのもひとつの手です。一定の条件をクリアすれば、贈与税の特例により一定額まで非課税になります。親から資金を借りる際には、返済期日、金利、利息、返済方法などを明記した借用書を作成すること。そうでないと、贈与と見なされて税金がかかる可能性があるので要注意です。
物件購入やリフォーム工事には諸経費がかかる
物件を選ぶとき、予算ぴったりで、できるだけ条件のいい家を……と探すのはNG。中古マンションを購入する際には、不動産会社への仲介手数料が、ロ―ンの申し込みには融資手数料が、というように、物件価格や工事費以外にも、さまざまな諸費用がかかります。さらに、引っ越し代や新居の家具購入費用なども合わ
せると、およそ物件価格の10%にも上ります。この費用もあらかじめ予算立てしておきましょう。
物件購入&リフォームにかかる主な諸費用
中古物件購入(印紙代、仲介手数料、
所得権移転登記費用、固定資産税などの精算金)
ローン利用(印紙代、融資手数料、ロ―ン保証料、団体信用生命保険料、火災保険料・地震保険料、抵当権設定登記費用)
リフォーム(印紙代、家具代、引っ越し代)
●返済方法の選び方
返済方法には次の2つがあります。元金部分の返済額が一定の元金均等返済と、はじめから終わりまで毎月の返済額が変わらない元利均等返済です。前者は、初期から元金が着実に減っていくため、その分、利息負担が減り、返済総額が少なくてすみます。民間ローンの場合は、元利均等返済しか選べないケースもあるので確認を。教育費など将来のお金のかかりどきを考慮しながら、返済方法を選んでください。
●金利タイプを選ぶポイント
次に金利のタイプを説明しましょう。
- ・固定金利型は、借り入れ時の金利が返済終了まで変わらずに適用されるもの。
- ・変動金利型は、原則は半年に一度の見直しで、市場情勢に合わせて金利が変動するもの。
- ・固定金利期間選択型は、最初の5年や10年は固定金利で、その後は変動にするか固定にするかを選び直すというもの。
このうち、最も金利が低いのは変動金利型です。一見、お得なようにも見えますが、その金利がずっと続く保証はないので、将来の見通しが立ちにくいというデメリットもあります。金利が予想以上に上がってしまって返済が厳しくなるケースもありえます。その点では、期間中は金利が変わらない固定金利型は最も安心な選択といえます。
住宅ローンの種類
中古物件を購入する際に利用できる住宅ローンには、公的ローンと民間ローンがあります。公的ローンは、財形貯蓄をしている人が利用できる財形住宅融資など。物件や借り入れ限度額に制限もありますが、金利面
で有利な場合もあります。
一方、民間ローンは借り入れの制限が少なく、ローンの種類やサービス内容も豊富。銀行や信用金庫のほか、JA、信販・クレジット会社、加入者を対象とした保険会社のロ―ンなどがあります。
そのほか、住宅金融支援機構が民間の金融機関などとの提携で提供する「フラット35」というローンもあります。長期固定金利型なので、マネープランを立てやすいのがメリットです。
リノベーション費用についてもロ―ンを組みたい場合には、リフィムローンという商品もあります。こちらも公的なものから民間のものまでさまざまあり、金利や融資限度額などが異なります。最近では、中古マ
ンション購入とリノベーション費用を合算して借りられるリフォーム専用ローンもあり、「フラット35」にもリノベーション費用とあわせて借りられる「フラット35(リフオーム一体型)」があります。